【運営指導(旧 実地指導)】自己点検シートの内容とポイント

1.はじめに
2024年度の制度改正により、実地指導が運営指導に名称変更されました。
この運営指導に関する資料として「自己点検シート」と呼ばれる書類があります(自治体によって、点検表・事前調書などと呼ぶところもあります)。
多くの自治体では、運営指導の際に、事前に自己点検シートの提出を求めています。これにより、
- 事業所は自らの運営状況を事前に把握できる
- 行政側は効率的な指導を実施できる
- 双方にとって、より効果的な運営指導が可能となる
このように、運営指導の効率化が図られることが期待できます。
本記事では、東海地区(愛知県・三重県・岐阜県・静岡県)の「自己点検シート」「集団指導資料」をまとめてみましたので、運営指導の際にお役立てください。
2.運営指導の基礎知識
運営指導には、
- サービスの質の確保
- 給付費等の適正化
という2つの重要な目的があります。
サービスの質の確保では、利用者への適切な支援提供が求められ、給付費等の適正化では、適切な報酬請求が行われているかを確認します。
指導方法としては、事業所訪問による個別の運営指導と、講習会やオンラインでの一括実施による集団指導があります。
個別の運営指導の実施頻度は原則として3年に1回以上とされていますが、
- 新規指定から1年以内の事業所
- 過去の指導で改善が不十分だった事業所
- 苦情や通報が寄せられた事業所
については、優先的に実施されることがあります。
3.愛知県・三重県・岐阜県・静岡県の「自己点検シート」一覧
愛知県・岐阜県・三重県・静岡県の自己点検シートのリンク先をまとめました。
自社の市町村だけでなく、他県の資料も大いに参考になると思います。ぜひ各指定権者の資料を見比べてみてください。
4.自己点検シートの内容について
生活介護、就労継続支援A型・B型、共同生活援助(グループホーム)、放課後等デイサービス、児童発達支援など実施しているサービスによって、自己点検シートで事前に用意を求められる書類は異なります。
しかしながら、どの事業も共通して、おおむね以下の書類は整備された状態で用意する必要があるかと思います。
特に注意が必要であろう書類を太文字にしております。
- 指定申請関係書類・変更届・関係官署に対する報告書
- 運営規程
- 就業規則
- 従業員雇用契約関係書類
- 従業員給与台帳
- 従業員名簿
- 従業員資格証、実務経験証明書
- 出勤簿(タイムカード)
- 有給休暇申請簿等 (休暇取得日等が確認できるもの)
- 超過勤務命令簿・超過勤務記録簿等(超過勤務実績が確認できるもの)
- 出張命令簿・出張記録簿等(出張日等が確認できるもの)
- 職員会議録
- 勤務表・組織体制図等
- 職員研修記録
- 利用者名簿
- 受給者証の写し
- アセスメントシート・フェースシート
- モニタリングの記録
- サービス担当者会議の記録
- 個別支援計画
- サービス提供記録
- 決算・事業報告(関係書類)
- サービス利用契約書・重要事項説明書
- 利用者負担金等の請求書・領収書(控)
- 給付費等明細書(請求書)
- サービス提供実績記録票
- 苦情・事故・ヒヤリハット・身体拘束に関する記録
- 利用者情報の秘密保持に関する取り決め等
- 利用者情報提供についての本人等の同意書
- 代理受領額通知書
- 事業所パンフレット等
- 契約内容(障害福祉サービス受給者証記載事項)報告書
- 業務継続計画(自然災害・感染症)
- 感染症等対策委員会の設置・運営等がわかる書類
- 感染症等対策の研修及び訓練を実施したことがわかる書類
- 身体拘束適正化検討委員会の設置・運営等がわかる書類
- 身体拘束等の適正化のための指針
- 虐待防止委員会の設置・運営等がわかる書類
- 虐待防止のための指針
- ハラスメントの防止に係る方針を明確化したもの
5.まとめ:継続的な質の向上のために
運営指導は、単なる監査ではなく、サービスの質を向上させる重要な機会として捉えることが大切です。
全職員での情報共有と意識向上、記録管理の効率化と定期確認、そして自己点検の習慣化を通じて、日々の確認と改善を積み重ねることが、結果として利用者へのより良いサービス提供につながります。